浦島太郎が浜辺を歩いていると、
子供たちが、カメをイジメていました。
その側を浦島太郎が通ると、
「浦島太郎さん、助けてください!」
とカメの声。
浦島太郎は考えました。
子供たちといえど、相手は多数です。
もしかしたら勝てないかもしれません。
浦島太郎は頭脳派なので、体力には自信がありませんでした。
生まれてから一度も喧嘩をしたことが無いほどです。
そこで浦島太郎は、カメの声が聞こえないふりをし、
歌いながら、通り過ぎました。
「この薄情ものめー」とカメは恨みました。
怒ったカメは、子供たちを蹴散らし、
浦島太郎のもとへ駆けつけました。
本気のカメは強かったんですね。
「浦島太郎さん、助けてくれたお礼に、竜宮城へご案内します。」
「いや、俺は助けてねーし」
と浦島太郎は内心思いました。
「さぁさぁ、楽しい竜宮城へ行きましょう」
カメは強引に案内しようとします。
「こいつ、俺を溺れさせようとしているな」
でも、ここで断って、カメが怒ると恐そうです。
波際で、浦島太郎とカメの心理戦が始まりました。
「俺、泳げないんだ」
「大丈夫ですよ。私の背中に乗れば、
呼吸できるシステムになっていますから。」
カメは何が何でも、海の中に引きずりこもうとしてきます。
浦島太郎さん、大ピンチ!
その時、
「あんた、ここで何しているの?」
とカメの奥さん。
実はカメさん、陸ガメのメスと浮気しに来ていたんですね。
それを察知した奥さんが、尾行してきていたのです。
カメの奥さんは、カメを連れて、海の中へ帰っていきました。
こうして浦島太郎さんは、人生最大のピンチを乗り越えたのでしたー